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●チャミのナンパ術
 チャミは私が道端で拾いました。正確には、チャミが私を逆ナンパしたと言ってもいいでしょう。その日、私は仕事へ行こうと駅に向かって歩いていました。駐車場の横を通った時、猫の声がした気がして立ち止まると、足元に痩せこけた猫がやってきて私の足にスリスリしました。撫でても逃げようとしません。でも、遊んでいては遅刻します。そこで立ち去ろうとすると、なんと、前に出す足、出す足に8の字にからんでついて来てしまうのです。これは困った! 私は道の向かい側にあるコンビニで猫缶を買って与え、エサを食べている間にその場を立ち去ろうと考えました。道を渡ってついてきてしまったらどうしよう。その心配は愚弄でした。私が道を渡り始めた次の瞬間、猫は私の足に絡むのをやめました。そして、私が猫缶を買って戻ると、こつ然と姿を消してしまったのです。私は猫缶を手に仕事に行き、考えました。捨て猫なのだろうか? また戻ってくるかな? この猫缶食べるかな? またついてきたらどうする? それから、それから…。
 その帰り道、同じ場所でまた声がしました。声のした車の下を覗くと、今朝の猫が寝そべっています。私が猫缶を開けると、猫は飛びつくように食べ始めました。
「これを食べたら、お家へ帰るんだよ」。
 そう言って立ち上がると、猫は必死の形相でついてきました。私はもう一度猫を猫缶の場所に戻し、自分もしゃがみこんで猫が食べ終わるのを待ちました。そして、迷うことなく猫を抱いて帰ったのです。次の瞬間に名前は決まっていました。チャーミングな猫、チャミ。